介護福祉士の資格を取得したら、資格を活用して自由に働くという発想を持つことも大切です。一般的には介護現場で重要な役割を果たす人材として知られていますが、必ずしも介護現場だけにこだわる必要はありません。
介護と社会福祉の専門家としての資格
介護福祉士となって転職を計画するときには専門性を発揮できる分野が広いということを理解しておく必要があります。
現代では介護現場で活躍するための資格として取得されることが多いのが介護福祉士ですが、専門領域は介護だけでなく広く福祉をカバーしているのが特徴です。社会的にも優秀な介護従事者として働く人材となることが要求されているため、試験内容などについても介護に重点が置かれる傾向があります。資格を取得してからも介護を担う人が多いですが、福祉に関する専門性に目を向けて転職を行うという考え方も念頭に置いておくのが肝心です。
典型的な職場は介護系の施設
やはり介護福祉士の転職先として典型的なのは介護系の施設です。介護施設と一口に言っても様々なものがあり、大まかには通所系、入所系、訪問系の三種類に分類することができます。通所系はデイケアセンターに代表される施設であり、利用者が予定日に施設に通ってきてサービスを受けるタイプの施設です。入所する必要がないので夜間の介護は不要であり、土日が休みの施設も多くなっています。要介護度も低い利用者が多いことから比較的メンタル的にも体力的にも負担が少なめなのが特徴です。
これに対して入所系の施設は特別養護老人ホームや介護老人保健施設などに代表される施設であり、必ず一定数以上のベッドがあって入所者がいる現場になっています。要介護度や病気の有無は施設の性質によって異なりますが、身体介助が必要なレベルの人が多く夜間や週末の介護も必要なのが一般的です。高い介護スキルが求められる現場が多いので介護福祉士が活躍する施設として適しています。
訪問系の施設はあくまで事務所として機能していて、介護福祉士は通常は利用者の自宅に行って介護を行うのが特徴です。一人か二人程度で現場に向かうことになるため、様々な場面に臨機応変に対応できる能力が要求されます。経験が十分にあって知識も豊富な人材が渇望されていることからやはり介護福祉士が重宝されている施設です。
介護や福祉に関わる周辺の仕事にも従事可能
介護福祉士には直接介護系の施設で働く以外にもその周辺の仕事を担うこともできます。介護現場や福祉施設で使用されている福祉用具や介護福祉施設の設置や設計に関わる仕事は介護福祉士が活躍している代表的なものです。福祉用具の開発を行っている企業で企画や営業を担当するのは経験を生かして業界に寄与することができるやりがいがある働き方になります。現場経験に基づいて新しいコンセプトの福祉用具を考案したり、現場に出入りして培ってきた人脈を生かして適切な現場に福祉用具の営業活動を行ったりすると、現場を知らない人とは異なる方向性で活躍することができます。また、福祉用具のレンタル会社などでも適切な商品説明や現場でのデモなども行えるため実力のある人材として重宝されています。
一方、バリアフリー化が進んでいる影響で住宅や建築などの会社やリフォーム会社からも介護福祉士の需要が高くなってきました。専門家の見地から理想的な設計を提案できるのが強みであり、他の人にはできない役割を果たすことができます。このような現場では顧客へのヒアリングにも随行して高齢者や障害者などから直接話を聞いてより良い設計をできるようにすることもあります。
病院や公共施設などでも需要がある介護福祉士
介護福祉士はこの他にも多様な現場で活躍しています。医療現場である病院やクリニックでも高齢者や障害者が多いことから、適切なケアプランを考えられる人材として重宝されるようになりました。福祉系の公共施設のスタッフとしても必要とされている人材であり、イベントの実施の際に高齢者のケアを行ったり、日常的な福祉に関する相談員として働いたりしているのが一般的です。
この他にも介護福祉士は独立して起業することも可能です。介護施設には介護福祉士がいなければならないという仕組みになっていますが、自分が介護福祉士であれば他のスタッフの選び方は自由になります。現場経験からこのような介護施設が必要だという発想が生まれてきたときには独立するのも良い方法です。
自分の望む働き方を選べる介護福祉士
介護福祉士は介護の専門家として介護系の施設で多様な役割を果たすことができますが、転職するときには介護や福祉全般に関する専門家としてより広い範囲の業種を選ぶことができます。福祉用具の企画や営業、病院での高齢者のケアなどの様々な業務で重宝されているので自分なりに望む働き方を探してみるのが重要になります。現場経験を積んでいるとそれだけでも貴重な人材として引く手あまたになっているのが現状です。
経験から考えて良い発想が生まれれば独立して介護施設を経営することもできるので、将来的な働き方の候補の一つとして覚えておくと良いでしょう。